米国は経済成長も企業収益も堅調で、失業率は数十年ぶりの低水準、低インフレ状態という、言わばゴルディロックス状態を謳歌している。12月そして来年に掛けて数回の利上げをFedは考えているでしょうが、市場の反応はここに来て変化を見せ始めています。

先日のレポート通り、米国Fedバランスシート縮小に当たり、今まで金利を求めて世界各地の投資不適格の債券、社債などいわゆるジャンク債と呼ばれているものに投下されていたマネーの流出が、いよいよ本格的に動き出している気がします。11月に入りバンカメ・メリルリンチのグローバルジャンク債指数は2週連続で下落、月央にまでに高利回り債ファンドからの流出額が68億ドルと、過去3番目の規模にまで膨らんでいる。高利回り債の金利は世界全体ですでに5%を割り込むまで買われており、欧州に至っては安全資産とされる米国債10年金利よりも低い2%割れ近傍になっている。

この状態でFedが年数回のペースで利上げすれば、リスク資産からの逃避はより深刻な動きを見せるかもしれません。FRBは現在自然利子率(経済活動における適正利子率)を2.75-2.80%と6月の3%から下方修正、2015年初めの推計値からは100bpも下がっている。そういう最中、先週公表された第3四半期の家計債務残高が1160億ドル増加の12兆9600億ドルと過去最大に。それまでの記録は、言わずもがな2008年の第3四半期なのだから、嫌でも気になってしまうのは仕方ない。市場関係者の一部は、「This time is different.」というが、果たしてそうなのだろうか?空前絶後の世界同時多発量的緩和政策によって、バブルのツケをバブルで返しているに過ぎないと思うのは私だけでは無いでしょう。世界経済の成長エンジンは、言わば消費による家計債務(借金)で、経済成長のエンジンを停止させるのは、他ならぬ債務(借金)の返済。実際地区連銀レポートによると、自動車ローンとクレジットカード債務は2008年を凌駕しており、債務ディフォルト率も上昇、債権銀行、ノンバンクは貸倒引当金を積み増し始めている。これに呼応するように、景気後退のシグナルとされている逆イールド現象まであと数bpと不安な数値が出始めている…。

(一部ロイター通信より)

 

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