スリランカ中央銀行が2020年3月末に自動車の輸入に関して新規のL/C発行を停止してから半年以上が経過。これまでの経緯を振り返り、スリランカ向け中古車輸出の今後の展望を考えてみたい。

 2020年のスリランカ向けの輸出台数の推移を見てみると、3月:3,875台、4月:339台、5月:272台、6月:125台、7月:49台と、3月末のL/C発行停止以降、スリランカ向けの輸出台数が大きく減少している。5月には発行済みのL/Cによる輸入車両に関しても代金の支払いを一時停止し1年後に支払いの決済するという一方的な通知があり、すでに輸出した車両をシップバックするわけにもいかず、多くの輸出業者がこの支払い条件の変更を受け入れて車両の引渡しをしたとみられている。そして、輸出をしても代金の支払いがされないことが確定的となり、新たな輸出の船積みは見合わされることとなった。8月には外貨流出防止目的で、スリランカ政府は輸入を停止する対象品目を拡大しており、自動車の輸入規制は引き続き継続する方針が示された。スリランカ、外貨流出防止目的で各種輸入制限措置を導入(2020年8月)

 このような状況でスリランカ国内の自動車販売の現場はどうなっているかというと、半年以上に及ぶ自動車の輸入停止で特定の人気車は在庫が不足する状態となり、輸入業者は仕入れの輸入をしたいが政府が輸入停止をしているため何もできないという状況にあるようだ。そして、自動車の輸入がされないということは、これまであった自動車輸入に関連する仕事がなくなるということなので、スリランカでの雇用にも影響がでているという話だ。現地の自動車輸入業者でつくる団体の代表はこうした状況をふまえて、自動車輸入停止によるスリランカ経済へのマイナスの影響、自動車輸入に携わる企業およびその社員の生活への影響などをまとめたレポートをスリランカ政府に提出して、自動車輸入再開の陳情をしたという話で、停滞した状況の打開が期待されている。(次のページ

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