輸出ビジネスでの商品売買に関する取引条件は、フランスのパリに本部を置く国際商工会議所(International Chamber of Commerce)が制定したインコタームズ(Incoterms)に基づいて、売り手と買い手のあいだで取り決めをします。インコタームズは貿易取引条件とその解釈に関する国際規則で、各国間での貿易取引条件の解釈の違いによるトラブルを回避するために制定されました。中古車輸出ビジネスにおいてもこの規定に基づいてバイヤーとの車両の売買契約を結びます。中古車輸出ビジネスでよく利用される取引条件は、FOB、CFR(C&F)、CIFです。
FOB
FOBは輸出側の本船渡し条件の価格のことで、たとえば横浜港渡しの条件で価格を提示するのであればFOB Yokohama Priceということでバイヤーに価格を提示します。輸出通関費用は売主側の負担となりますので、通関費用は提示する価格の中に含めておく必要があります。輸出先国までの海上運賃、海上保険は買主負担となり、バイヤーが手配をします。
CFR(C&F)
CFRは商品代金(Cost)と輸出先国までの輸送費(Freight)を含んでいる価格という意味で、たとえばケニアのモンバサ港までの輸送費を含めた販売価格を提示する場合はCFR Mombasa Priceという表示します。FOBの価格に輸送費を足したものが、CFRの価格となります。古いバージョンのインコタームズでC&Fという表記を採用していましたので、今でもC&Fという呼び方が使われることもありますが、CFRと同じ意味です。2000年に改定されたインコタームズ2000で、C&FからCFRという表記に改められました。なお、CFRは輸送モードが海上輸送に限定されますので、海上輸送以外の輸送形態および海上輸送+鉄道輸送など複数の異なる輸送形態で輸送される場合はCPTのタームを使用します。モンゴルやウガンダなど港のない国の内陸ポイントまでの輸送費を含めた価格をオファーする場合はCPT条件にします。
CIF
CIFは商品代金(Cost)、輸出先国までの輸送費(Freight)、海上保険(Insurance)を含んでいる価格という意味で、たとえばCIF Colombo の条件で価格を提示した場合は日本からスリランカのコロンボ港までの海上保険も売主側で手配することになります。アフリカ向けに低年式の安い中古車を輸出する場合は海上保険をかけることはあまりないですが、スリランカ向けなどL/C決済が必要となる国への輸出は海上保険の付保がL/Cの条項に指定されてきますので、CIFで価格を提示する必要があります。なお、CIFは輸送モードが海上輸送に限定されますので、海上輸送以外の輸送形態および異なる複数の輸送形態で輸送される場合はCIPが使用されます。
CPT
CPT(Carriage Paid To)は商品代金(Cost)と輸出先国までの輸送費(Freight)を含んだ価格という意味ではCFRと同じですが、CFRの輸送モードが海上輸送に限定されるのに対して、CPTはどのような輸送モードでも使用できるのが違いです。たとえば、仮に航空便で香港に中古車を輸出する案件があるとするならば、貿易条件はCPT Hong Kong Airportとなります。
CIP
CIP(Carriage and Insurance Paid To)は商品代金(Cost)、輸出先国までの輸送費(Freight)、海上保険(Insurance)を含んでいる価格という意味ではCIFと同じですが、CIFは輸送モードが海上輸送に限定されますので、鉄道、航空便など海上輸送以外の手段で輸送される場合はCIPが貿易条件となります。