2022年の中古車輸出先国のトップ10の順位は、1位:ロシア、2位:U.A.E.、3位:ニュージーランド、4位:タンザニア、5位:ケニア、6位:チリ、7位:モンゴル、8位:フィリピン、9位:マレーシア、10位:南アフリカとなった。2021年との比較では、チリが4位から6位に後退、10位だったパキスタンは24位となった。タンザニアは7位から4位に順位をあげた。マレーシアはトップ10圏外の15位から9位にランクインした。
2022年のマレーシア向けの中古車輸出台数は前年対比で79%と大きな伸びを示しており、非常に好調であった。マレーシア向けが好調だった要因は、天然ガス・原油などの資源価格の高騰の恩恵を受けてマレーシア経済の景気が良かったことに加え、半導体不足による新車生産の遅れで長い納期を待てないユーザーが日本からの中古車にシフトした結果といわれている。本来であれば現地のディーラーから新車を購入するユーザー層の需要をも取り込んだため、2022年のマレーシア向けの中古車輸出台数は大きく伸びた。2023年もマレーシアのこの状況が継続するかどうかの判断は、資源価格の動向、新車生産の状況が注目すべきポイントではないだろうか。
2022年の中古車輸出でマレーシアのほかに注目すべき国はロシアだ。ロシアはウクライナとの戦争開始直後は経済制裁を受けてロシア向けの輸出はスローダウンするだろうとみられていたが、むしろ輸出台数が伸びた。久しぶりに20万台を超える結果となった。2014年のクリミア侵攻の際は、その年の後半にルーブルの為替レートが暴落してしまい、それに続く2015年はロシア向けの中古車輸出台数は大きく落ち込んだ。今回はルーブル安とはならず、むしろ円安が進行したため、為替レートの影響によるビジネスの停滞が避けられた。貿易で重要な物流と代金決済についても経済制裁の影響はほぼなかったように思える。物流について見てみると、太平洋側の港に寄港する主要な船社は欧米主要国による経済制裁に同調してロシア航路の配船を停止したが、日本海側のロシア船による輸送ルートは影響がなく取引は活発だったようだ。代金決済についても、SWIFT制裁で金融機関経由の決済からロシアは排除されたが、現金で中古車を買い付けて持ち帰るというやり方で現金取引にしてしまえば代金決済の問題は生じない。ルーブルの急落またはロシア船の入港禁止などの措置がない限りは、ロシア向け中古車輸出は2023年も順調に推移すると予想する。(次のページ)
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