RORO船はスペースタイトの状況がまだまだ続くようだ。ある船会社の話では、ヨーロッパ向けの航路では船積みスペース待ちの車両が850台以上あるとのことで、新車の輸出が好調なことから中古車へのスペースの割り当ては少なく、中古車の船積みができない状況がまだしばらく続きそうだ。来年の3月ごろまで新車の船積み予定でスペースが埋まっているという話もあり、キプロス、UK向けなどのヨーロッパ向けの中古車の買い付けを手控えている輸出業者も出始めている。オセアニア向けも新車の輸出が好調な北米向けに大型船をとられてしまい、オセアニア航路に割り当てらている船では需要をカバーしきれずスペースがタイトな状況だ。海上運賃も日を追うごとに値上げされており、中古車輸出ビジネスにとっては収益圧迫の要因となっている。これに加えて、港の通関業者が輸出車両の車内のごみやタイヤの処分費用を別途チャージするというケースが出てきており、これもコスト増の要因となっている。通関業者にとっても中古車の船積みができないということは、通関の仕事がないということなので、収益確保のための苦肉の策なのだろう。

 アフリカや南米向けなど価格競争が激しいマーケットでは、1台当たり100ドル程度の利益で薄利多売でどんどん輸出するというスタイルが当たり前となっており、これができないとそのマーケットでは生き残れないとされていた。過当競争に耐えられず撤退するという話もよく聞いた。しかし、今の状況を考えると、この薄利では船積みできないで2~3ヶ月ほど港のヤードで船のスペースを待つとなると保管料で利益が消えるどころか赤字になってしまうし、実際に船積みするときには当初の見込みより海上運賃も上がっているので大赤字となる。これでは何をやっているのかわからない。安売り競争を見直すきっかけになるのではないだろうか。

 

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