2018年9月4月に神戸に上陸した台風21号は神戸港の保税ヤードで輸出の船積みを待つ中古車に大きな被害を与えた。神戸港にあった多くの車両が海水に押し流されて見るも無残に破損し、高潮による車両への浸水、暴風雨の飛来物による車体の破損などの被害があり、六甲アイランドのヤードに多くの輸出車両を搬入して船積みの準備をいていた中古車輸出業者は被害の大きさに頭をかかえている。今も通関業者の保税ヤードでは台風の被害を受けた車両を搬出して撤去しない限り新たに車両を搬入することができないという措置をとっており、台風被害の影響をまだひきずっている状況だ。大阪の泉北港でも神戸港ほどではなかったが、暴風雨による飛び石での車体へのダメージ、飛び石によるガラスの破損、割れたガラスから雨水が浸入したことによる車内の水濡れ被害も一部の車両で確認されている。

 港のヤードで起きたこうした天災による被害に対して何かしらヤードの保険で損害を補償されるのではと期待をしたくなるところではあるが、港のヤードで保管される車両については基本的に保険の加入はなく、荷主の自己責任で対応するというのが今のところ一般的な状況だ。その理由としては保税ヤードを運営する通関業者がそのヤードで保管する車両に保険をかけようとした場合、荷主のリクエストに応じてピンポイントで数台だけ保険をかけるということはできず、保管するすべての車両への保険加入が条件となり、高額車両を輸出する荷主は保険料分のコスト増を安心料として受け入れられる素地はあるが、そうでない荷主にとっては単純にコスト増としか見えないため、港のヤードでの保険加入は難しい状況となっている。荷主の立場で見るとこれといった効果的な保険もないため、もし車両に何かあったら荷主が費用を負担して修理するというのがこれまでの一般的な対処方法となっていた。(次へ

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