米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は14日、財政危機に陥っている南米ベネズエラの外貨建て長期国債の格付けを「選択的デフォルト(SD)」に引き下げたと発表しました。格下げは、ベネズエラが2件のグローバル債の利払いに必要となる2億ドル(約230億円)を、30日間の支払い猶予期間の最終日だった12日までに支払えなかったことを受けた措置。S&Pによると、ベネズエラは他の4件の債務4億2000万ドル(約480億円)についても支払い期限を過ぎており、猶予期間に入っている。一方、欧州系格付け大手フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)も、国営ベネズエラ石油(PDVSA)が債務2件、計約20億ドル(約2300億円)の返済に1週間の遅れが出たことから、同社をやはりSDに格下げした。
この選択的デフォルトが1500億ドル(約17兆円)に上る公的債務などにも広がれば、ベネズエラは完全なデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある。同国の外貨準備高は100億ドル(約1兆1300億円)を切っており、債務返済のためには今年中に14億ドル(約1600億円)、来年にはさらに80億ドル(約9100億円)を調達しなければならず、緊迫した状況は続く。
これに対し、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は、国家およびPDVSAの債務整理のため委員会を設置、第1回会合が13日に首都カラカスで開かれたものの、政府側は交渉の具体案を提示出来なかったとのこと。
半年くらい前にヴェネズエラの現地の状況をレポートしましたが、原油価格が安値停滞する中、茲許の状況は悪化の一途をたどっています。これも先程の記事同様、今までリスク資産へ向かっていた「マネー」が安全資産へ逆流してきている証左だと言えるでしょう。10月はFRBのバランスシート縮小はほぼほぼ債券のみで推移となりましたが、今後はバランスシートの縮小の本格化と利上げがセットになってきますので、このような動きは加速していくかもしれません。因みにヴェネズエラに行かれる方は、クレジットカード決済はせず、米ドルの現金をお勧めします。クレジットカード決済の場合、表向きの換算レートが適応され、かなりの差損が出てしまうため、こういう有事の際は米ドル現金が一番ものを言います。
(AFP通信より一部記事抜粋)