電線大手の古河電気工業は、次世代の材料と注目を浴びているカーボン・ナノ・チューブ(CNT)製の線材を用いた小型モーターを開発しました。CNT素材の巻線を使ったモーターの試作に成功したもので、電動機のコイル材にCNTを活用したのは同社では初めてで、EVやHV用モーターの高性能化や軽量化に貢献する技術として、2030年までの実用化を目指していく。同社は信州大学と共同で世界トップクラスの導電率を持つ円筒形状のCNT導体を開発、その後電線への応用を目的に線材化に関する研究を続けている。CNTは比重が銅の1/5と軽量なうえ、約1000倍電流密度や鉄の20倍の強度を有するため、高出力電線への展開が期待されている次世代の技術だ。ただ現在は製造コストが高く、実用化する上での高い障壁になっており、今後量産を視野に実用可能なレベルまでコスト低減を目指していくとのこと。CNT線材の製造には、同社主力の銅線やアルミ合金線などの金属線材の量産技術を活用していくほか、光ファイバーケーブル、ワイヤーハーネスの寄り線・被覆技術を横展開していく。同社にとって、電線地中化、自動車関連、リニアモーターカー、そしてこのCNT技術と今後の業績にも期待が高まっている。
(一部日刊自動車新聞より)