欧州やカリフォルニア州のZEV規制など、自動車の排出ガスを巡る環境規制により、今までの内燃機関の有り方が今後変わるかもしれません。未来の自動車の形としてFCVが有りますが、水素供給と車輌価格という点でまだまだ問題が山積しています。そうなると必然的にEVになるのですが、現在は皆様ご周知の通り航続距離が短い割りに充電時間も長く、価格も高いという、EV自体も問題を抱えています。ただEVに関して、道路にコイルを敷設し電磁誘導方式の可能性を模索する動きが出てきている。東京大学などはすでに走行しながら給電するというワイヤレス給電という新技術を開発、実現化されればまさに未来の自動車構造を構築出来ると思われます。また電磁誘導を受ける側のEVに関して、先日東京大学の藤本准教授を中心としたチームは、東洋電機製造と日本精工と共同で、車輪を支えるアームに取り付ける方式を新開発。これにより道路に敷設されたコイルとEVの受電コイルとの距離が、これまで一般的だった車体底部と比較し、限りなく近づけることが出来、送電効率はかなり高められるということだ。同グループの実証実験では、モーターへの入力効率は90%を超えており、もはや実現可能レベルに近づいて来ている。モーターに関しても、天才フェルディナンド・ポルシェ博士が提唱した、インホイールモーターを装着し、車輪ごとに回転を制御する技術を融合した自動車技術の開発も進んでいる。インホイールモーター式にすれば、長い回転軸や歯車が不要になり、車両設計の自由度が格段に増すのみ利点に。藤本准教授は、多方向に往来する電気の回路制御技術が重要な肝となるだろうと語っている通り、電気を効率的に配分する技術が重要な役割を担うと思われる。2025年を目途に実際の道路で実証実験に入り、2030年の実用化を目指し今後も研究開発を続けるそうだ。
経済産業省は2030年までにFCV、PHV、EV普及率を20~30%へ引き上げるという目標を立てているが、現状の航続距離や充電時間を踏まえるとかなり厳しい。この東大チームのインフラ整備が進めば、内蔵する二次電池容量を現在の半分程度で済むため、車両コストは必然的に下がるとのことだ。道路に敷設するコイルも1キロメートルあたり2~3億円と見積もっており、東京-大阪間に敷設した場合、1000億円で済む計算だ。未来の高速道路は、追い越し車線が無くなりEV専用レーンがお目見えする可能性もいよいよ出て来たかもしれない。因みに停車中に給電する仕組みはそれよりも早い2018年に国際標準化され、早稲田大学と東芝、IHIと三井ホームが研究を進めており、数年後には実用化される予定となっている。