今年の3月に入ってから陸送会社から陸送費の値上げをされたという話を聞くことが多くなってきた。主要オークション会場から横浜港までの乗用車1台あたりの陸送費で500円から3,000円の範囲で値上げが行われているようだ。値上げの主な理由は人件費の高騰で、キャリアカーのドライバーの確保が難しい状況にあるようだ。確かに数年前から建設ラッシュの影響で建設資材を輸送するための大型車を運転できるドライバーのニーズが高まり、陸送会社から待遇のよい建設会社へドライバーが転職するという話がちらほらと聞こえてきていた。実際にドライバーの取り合いで人件費が高騰しているということなのだろう。オークションで大量に中古車を買い付ける大手の中古車輸出事業者は物量に物を言わせて陸送費を低く抑える方針をとってきたが、大手といえども値上げを受け入れざるをえない状況となってきている。昨今のこのような事情を考慮せず、陸送費のさらなる値下げ要求をして陸送会社からあきれられて取引停止を言い渡された大手輸出事業者もあるという。今後は、陸送費の値上げ傾向は避けられない要因として認識する必要がありそうだ。
この陸送費の問題に加えて、2020年は国際的な環境規制の強化で海上運賃が上昇する可能性が高まってきている。国際海事機関(IMO)は、船舶燃料に含まれる硫黄分濃度を現状の3.5%以下から0.5%以下とする国際的な規制を2020年1月から実施することを決めている。この規制をクリアするためには、既存の船舶にスクラバー(脱硫装置)を設置して従来のC重油を使用していくのか、燃料を低硫黄燃料に切り替えるかの対応が必要となる。船会社にとってはどちらの方法を選択するとしてもコストが増加する要因となり、海上運賃へのコストの転嫁は避けられない状況のようだ。
中古車輸出ビジネスはすでに過当競争で、このようなコスト増を吸収できるほどの利益がない。特に競争の激しいアフリカを主戦場としている輸出事業者は利益を削って安売りしすぎて、ドル/円の為替レートが大きく変動すると利益が0もしくは赤字になってしまうようなぎりぎりの価格でビジネスをしている会社もあると聞く。今後はコストが増加する傾向にあることを踏まえて、ビジネスのやりかたは見直す必要がありそうだ。
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