三菱ケミカルが独自に開発した新素材に、国内外の自動車メーカーから熱い視線が注がれている。その商品は植物由来のバイオプラスティック素材で、エンジニアリング・プラスティックの一種「デュラビオ」だ。エンジニアリング・プラスティックとは、耐熱性などの機能を強化した化学製品のことで、一般的には家電製品の内部に使用されている。この「デュラビオ」は、先日帝人とGLMの紹介ページで報告したポリカーボネート(強度・耐熱性・汎用性等で圧倒的に優れる)の良い部分と、アクリル樹脂(見た目が美し(透明性が高い)の良い部分を引き継ぐ新素材。この新素材の特徴は大きく分けて5つ

1.ガラスの代替が可能、2.塗装を必要としない、3.黄色く変色しない、4.軽量かつ強度が有る、5.トウモロコシ由来のバイオマス素材であること。などが挙げられます。

この「デュラビオ」は昨年12月上旬に東京で開催された「エコプロ2016」という環境展示会で、自動車メーカーのマツダが、新型車種「ロードスター RF」の外装部材に、三菱ケミカルと共同開発した新素材「デュラビオ」が使われたことで、自動車メーカーを始め世界各国から一気に注目を集めることとなりました。さらにマツダは、2015年から「ロードスター」、「CX-9」、「アクセラ」、「デミオ」に採用しており、今後も順次採用すると明言している。2008年から開発を進めてきた三菱ケミカルの新素材「デュラビオ」は、スマホ等のモーバイル端末で使用されるガラスの代替として2010年からサンプル品の試作を始め、商業化を模索し続けていた。ようやく採用が決まったのはスマホでは無く自動車で、2014年にスズキ「ハスラー」、翌15年に「アルト ラパン」の内装部材として使用されることとなりました。採用の最大の決め手は顆粒状の素材の段階で着色すれば、後工程での塗装が省略出来コストダウンになるということだった。2016年には仏ルノー「クリオ」の内装での採用も決定している。ほぼ同時期に、同じ原料を使用し似たような新素材を帝人も開発したが、未だサンプル品の試作段階ということで、この新素材は三菱ケミカルの独壇場となっている。現在この新素材を生産する福岡県北九州市の黒崎事業所のキャパシティはフル稼働で年間5000トンだが、2020年までに同2万トンに増産する計画となっている。これまでの採用実績は、自動車の内外装、モーバイル端末表面のガラスの代替、ディスプレイに内蔵する偏光板、眼鏡の上からかけるサングラス、化粧品の容器等だが、この新素材の自動車用用途としてまだまだ拡がりを見せると確信しております。

(ダイヤモンドオンラインより一部記事抜粋)