リーマンショック以降の2009年12月、提携先のゼネラルモータースの業績悪化に伴いスズキの保有株式を売却し、新たな提携先として独VWグループと資本・業務提携を締結したスズキ自動車。当初は対等なパートナーとして、小型車の共同開発やVWが非常に興味を持っていたインド市場での協力を模索していた両社。ただ実際はVW傘下のグループ会社という位置づけで、主従関係という厳しい結果に。このVWの対応に不信感を持ったスズキ自動車は、国際商業会議所国際仲裁裁判所に仲裁を申し立て、この度同裁判所の判断で包括提携の解消が認められた。世界最大の自動車メーカーの地位に有り、20%出資し長年の提携関係にあったゼネラルモータースは、スズキをグループ会社として扱ったことはただの一度も無かった。小型車の共同開発でもノウハウを持つスズキを尊重、次世代環境技術の開発でも同社技術者を積極的に受け入れる等、寛容な大人の姿勢を貫いてきた。かつて49%もの出資をしていたいすゞ自動車でも、同社自身に経営を任せていたくらい人間の大きかったGM。ここ数年で飛躍的成長を遂げて世界ビッグ3にまでのし上がったVWグループとの業務提携は、高い授業料となってしまった。

(日刊自動車新聞より)