産経新聞の記事によると、銀行口座から即時決済する「デビットカード」を不正に使って、外国人グループがガソリンスタンドでタイヤなどの高額商品をだまし取る不正取引が多発しているという。外国人グループが使用したのはスリランカの銀行が発行したカードで、ガソリンスタンドで採用されている「1円オーソリ」という特殊な認証手続きを悪用する新手の手口だそうだ。

 ガソリンスタンドでは給油に応じて決済金額が決まるため、小額決済ではいったん1円でカードの有効性を確認する「1円オーソリ」という認証手続きが行われ、その後に実際の金額で決済される仕組みになっているそうなのだが、店内での物品販売についてはVISAなどの大手カード事業者は「1円オーソリ」を認めていない。そして、物品販売で「1円オーソリ」が利用されたケースでは、銀行などの決済事業者が返金請求をすることを認めているのだそうだ。このルールを悪用して、外国人グループは店内での物品販売でも「1円オーソリ」を採用しているガソリンスタンドを狙って取引をして、店舗での取引の時点ではカードの決済が正常に完了したように見えて商品の引き渡しをするのだが、半年後にスリランカの銀行から返金請求をされ返金に応じざるを得ない状況になるというもので、時間差で不正が発覚する仕掛けになっている。(不正取引の手口の詳細はこちらの記事で ⇒ 産経新聞:ガソリンスタンドでカード不正 「1円承認」悪用で被害計9千万円 外国人グループ関与

 この記事を読んで、昔、中古車輸出業者を狙った「小切手詐欺」があったことを思い出した。手口がよく似ているのだ。小切手詐欺のことをご存じない方のために解説すると、詐欺の流れはこんな感じだ。まず中古車の購入代金を小切手での支払いができないか打診され、了承すると売り主あてに小切手が送付されてくる。売り主は小切手が偽物ではないかとか不審に思い、銀行に小切手を持ち込み確認を依頼すると本物の小切手だと言われ代金の支払いがされる。小切手が本物と言われ、実際に代金の支払いを受けたので安心して車両を輸出して取引が完了。それから半年が経過、忘れたころに銀行から小切手がUnpaid(不渡り)になったのでお金を返金してくださいと連絡がくる。そして、その時には車両の輸出先とは連絡がつかず泣き寝入りすることになるという流れで、商品引き渡しの時点では代金の決済が正常に行われているように見えるが、時間差で不正が発覚するところに類似性が見られる。

 最近は暗号通貨での支払いを打診されるケースもあるようで代金決済の方法が多様化しているが、詐欺被害にあわないようにするためにはそれぞれの決済方法のルールをよく理解して対処する必要があるだろう。 

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