昨日レポートした通り日銀黒田総裁の景気の緩やかな回復をしており特段更なる追加緩和は実施しない、という会見が始まった頃から一気に円買いドル売り、株先物売りが海外投資家によって行われております。バブル崩壊以降のデフレ経済が続いたことにより、本邦では投資人口・金額が長らく低空飛行となっておりました。その間海外はもちろんデフレでは有りませんでしたから、お金を眠らせておいてその資産価値が上がるなんてことは無かったので、お金でお金を生む投資というものが継続して行われ参りました。本邦のマーケットシェアも外国人投資家シェアが60%を超えるという常軌を逸した状態が続いてきた訳です。債券(国債)を除き外国人シェアが高いという事は、今回のような会見が有ると一気に売り叩く(巻き戻し)という状況に陥るのです。

 今回の件を何故予測出来るのか自動車業界の方々から今朝問い合せを受けましたが、最近はイベントドリブン型という商いをよく行い、日銀政策、海外の有事、各国の雇用状況の発表、成長率の発表など様々なイベントに付随して仕掛けを行うパターンが多いだけなのです。今後はウクライナ東部の独立や連邦制など地政学的なリスクでイベントドリブンを仕掛けるでしょうし、ユーロ情勢、中国情勢、などをきっかけに今後も値動きの荒い状況は続くでしょう。特に為替市場、株式市場は値動きの荒い、ボラティリティの高い状況が続き、貿易業者の方々にはしばらく為替で苦慮しそうです。

 為替で円高に振れているのは、今回のイベントドリブンが利いておりますが、今回ちょっと長引きくかもしれない要因として下記の理由が挙げられます。

1.日銀の会見で日本は所得収支が高いので、貿易赤字が常態化しても所得収支で赤字が続くことは無いと発言したことにより、安全資産の円が買われ続けるかもしれないということ

2.2012年11月から始まった「アベ・トレード(円売り・日本株買い)」の巻き戻し

3.ウクライナ、東・南シナ海などの地政学リスク

次の日銀金融政策決定会合による量的緩和拡大や、安倍政権の消費増税後の景気落ち込みに対する成長戦略・景気対策・規制緩和などが発表されない限り、消費増税後の景気落ち込みと相まって本邦には厳しい状況が続きそうです。