ホンダが威信を掛けて全面改良した新型「N-BOX」、新開発VTECエンジンやCVTの改良、そして80Kgにもなる軽量化を実現させたのは、まさにその表れと言えるでしょう。軽量化の軸になったのは、軽量で高剛性な超高張力鋼板(スーパーハイテン材)の適用拡大で、780MPa級以上のハイテン材使用比率を先代モデル比で3倍超の約47%に拡大。更に世界で初めてセンターピラー外板に1180MPa級のスーパーハイテン材を採用、フレーム、クロスメンバー、溶接等の工夫により、ボディ関連だけでも先代モデル比で約70Kg軽量化。その他EPSモーターの小型化、ステアリング部品のアルミ化、ダンパーロッドの中空化など様々な技術を用いて約80Kgもの減量に成功させている。肝のエンジンも全面刷新し、N/A、ターボとも燃焼室容積と燃料噴霧化のバランスを考慮して、いずれもポート噴射を採用。基本構造はボアを小径化しストロークを従来比9.4ミリ延長し、冷却損失を抑制。さらにロングストローク化によって吸気流速を早め強いタンブル流(縦渦)を発生、急速燃焼を実現することで燃焼効率を高めた。ロングストロークは高出力化には不利な構造だが、NA仕様の軽自動車初のバルブリフト量可変機構「VTEC」を、ターボ仕様には電動ウェイストゲートを採用しそれぞれ課題を解消、N/Aで43KW(58.5馬力)ターボ仕様で47KW(上限64馬力)の高出力を達成。燃費は無段変速機(CVT)のオイルポンプ改良による効率アップ、大幅な軽量化によってN/Aで27Km/L、ターボで25.6Km/L(JC08モード・2WD)に改善させている。走行性能では、安定性と乗り心地に寄与するスタビライザーをリアに、モーターでオイルプレッシャーを高め緻密な制御を実現する「ハイドロリック・ブレーキ・ブースト」を軽自動車に初採用。VSA(横滑り防止装置)の応用制御を組み合わせ、コーナー進入時のステアリング操作と同時に、内側車輪に軽くブレーキを効かせ曲がりやすくさせる「アジャイル・ハンドリング・アシスト」を標準搭載し、操縦性の向上も図っている。今回の新型「N-BOX」は、軽自動車販売ナンバー1の威信をかけたホンダのプライドを感じさせる仕上げになっている。

(日刊自動車新聞より)