検査会社のビューロベリタスジャパンからの案内によると、2020年4月20日以降にモンゴル向けに船積みする中古車は輸出前の車両状態を確認する検査が必須となり、この検査証がモンゴルで車両を登録する際に必要になるとのことだ。しかし、検査の内容を見てみると、果たしてこのような検査が必要なのか疑問を感じずにはいられない。

 まず一つ目の疑問は、この車両検査は合否判定をするものではなく、車両状態の確認および評価をするためのものとのことで、こういうことをすることに意味はあるのかということだ。通常の輸出前検査の役割は、車両の状態が輸出先国が設定している基準に合致するかどうかを輸出前に判定するものであり、基準に満たない車両は輸入を許可しないというのが各国政府が意図している検査の目的だ。したがって、合否判定がない検査というのは基本的にはありえない。

 二つ目の疑問は、検査の申請をする際にオークションで車両を落札したときのオークションシートのコピーを提出させるということだ。検査会社が自社の検査の参考にするためにオークションシートのコピーの提出を要求することにしたのか、モンゴル政府からの指示なのかはわからないが、各オークション会場によって検査の基準が違うことはよく知られていることで、中古車輸出前検査でこういう資料を提出させる必要性があるのかよくわからない。また、輸出車両の仕入れはオークションに限られているわけではなく、大手輸出業者であればレンタアップ車両をレンタカー会社から直接まとめて仕入れるということはよくある話で、オークションありきで検査の仕組みを考えていることも疑問だ。

 モンゴル政府はどのような意図でこのようなあまり意味のない輸出前検査を導入するに至ったのか疑問に感じる荷主も多く、モンゴル向けに多くの車両を輸出している輸出業者はこの検査の導入に強く反発しており、モンゴル政府に働きかけて検査導入を撤回させようとする動きもあるようだ。輸出前検査を導入するのであれば、公明正大に基準となる数値を公表して合否判定すべきであるし、その検査の申請にオークションシートのコピーを提出させるというのはあまりにも情けない検査方法なのではないか。検査費用という名目の上納金を中古車輸出業者から徴収するためにつくられた仕組みなのだとしたら、あまりにも残念だ。

 

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