イタリア政府は25日、多額の不良債権を抱え経営が行き詰まった地方銀行2行について、最大170億ユーロ(約2兆1000億円)程度を投じて破綻処理すると発表した。金融システムの安定化を図り、取引先の中小企業の資金繰りを支えるのが狙いだが、巨額の公的負担に批判が高まる可能性がある。

2行はバンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァとベネト・バンカ。監督機関であるECBが23日、破綻の可能性が高いと発表していた。英金融誌によると、バンカ・ポポラーレの資産規模はイタリア12位、ベネト・バンカは15位。政府は行を優良資産と不良資産の会社に分割。優良資産会社は国内2位のインテーザ・サンパオロに譲渡し、最大約52億ユーロをインテーザに供給する。不良資産会社の処理に伴う損失などに備え最大約120億ユーロを保証する。EUは今月、イタリア大手のモンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ銀行(モンテ・パスキ)に公的資金を投入して救済することを決定。スペイン大手のポプラル・エスパニョール銀行は最大手銀行によって1ユーロで買収され、破綻を回避したことも記憶に新しい。
 
欧州の銀行問題は昨年から落ち着きを取り戻しているように見えるが、実際は今年に入ってからも不良債権問題が続いているのが現状。現地紙によればイタリアの銀行の不良債権処理には、今後3500億ユーロ(約43兆円)が必要になるとの試算も出ており、まだまだ欧州の火種は燻ぶり続けている。
 
(一部毎日新聞)