米国大統領にトランプ氏が選出されたことで、TPPの先行きが不透明になってきました。同氏は選挙期間中からTPPには真っ向から反対を表明しており、日本でTPP法案が衆議院を通りましたが、これから再度交渉に入る可能性が高まったと言えるでしょう。安倍政権は、TPPをテコに規制改革、構造改革を図る狙いでしたので、TPPが先延ばしか反故にされた場合、改革が暗礁に乗り上げる可能性が高まり、遅々として進まない規制・構造改革に国民や民間の不満が爆発するかもしれません。畜産・農業関係者にとっては、逆に胸をなで下ろしているかもしれませんが、第二の開国を目指していた人々にとっては、振り出しに戻された感じでしょう。

それよりも、同氏が大統領になったことで、NAFTAの見直しや破棄を心配する声が日に日に増加しております。NAFTA締結後、メキシコをハブとして、同国で生産した車輌、工業製品、農・畜産物等をアメリカやカナダで販売している企業が多いのが現状で、これが見直されれば、進出している企業にとって一大事になるでしょう。ただNAFTA締結後、米国における貿易赤字総額の3割がメキシコとカナダになっており、こちらの方も今後注目されるでしょう。