銀行の外為業務担当者の話によると、スリランカの一部の銀行から2020年5月22日以降に船積みした車両についてL/Cの支払いは行わないとの通達があったとのことで、輸出業者への注意喚起が行われている。日本側の銀行業務としては、通常どおりL/C取立ての依頼を受けて、スリランカの銀行へ書類を発送することはできるが、スリランカの銀行から支払い拒否で書類が返送される可能性があり、その場合は別途費用がかかることもあるとのことだ。

 スリランカは過度な外貨流出を懸念して、3月末に自動車を含む不要不急の商品の輸入に関して新規のL/Cの発行を停止した。その後は、すでに発行済みのL/Cを消化するだけの状態となり、実際にその影響でスリランカへの輸出台数は3月の3875台から4月は339台と大幅に減少した。新規のL/C発行が止まり、さらに一部の銀行とはいえ、発行済みのL/Cの決済もできない状況になっているということを考えると、スリランカの外貨不足の深刻さがうかがえる。もともとスリランカは慢性的に外貨が不足ぎみの状態が続いていたが、コロナショックで外貨獲得の主力の観光業が打撃を受けスリランカ経済にとって大きな痛手となった。

 1月、2月にトヨタのライズがヒットしてスリランカへの輸出が伸び、その時点での予想では5月ごろにはプレミオなどのスリランカ向け定番車種も動き出すのではと見られていたが、コロナショックで状況がすべてが変わってしまった。

 

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追記(2020/6/19)

 L/C支払い停止の件、スリランカの銀行からの通知文を見るとスリランカ政府が5月22日に発行したGazette Extraordinary Notification No.2176/19のガイドラインにしたがって各銀行が対応しているもののようだ。これによると一部の銀行ではなく、スリランカのすべての銀行へ自動車の輸入手続き及びそれに伴うL/Cの支払いを一時停止するように指示されているため、当面はスリランカ向けの中古車輸出は完全に止まることとなりそうだ。そして、この一時停止措置がいつ解除になるかは示されていない。

 

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