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2018年9月の神戸の台風被害で損害保険の重要性が認識されましたが、この台風被害を保険で救済されたのは海上保険でカバーする範囲を拡大して船積み前のヤード保管中の災害もカバーする保険をかけていたケースでした。保険会社のサーベイヤーが被災した神戸のヤードにある車両の被害状況を調査し、高潮で車内まで浸水した車両は全損扱いで保険の支払いがされたとの話を聞きました。普段からCIF条件で中古車を輸出している場合は海上保険にもなじみがあり重要性も理解していると思いますが、FOB、CFR条件で取引している場合はどうでしょうか?貿易をしているかぎり海上保険と全く無縁ではいられないのではないでしょうか?
FOB、CFRは、貨物を船にのせて本船が出航してしまえば、そのあとは輸入者側が輸送中のリスクを引き受けるという貿易条件で、本船の座礁・沈没などで車両に損害が出た場合は輸入者側が費用を負担して損害に対処するというのがIncotermsで定義されている取引の条件です。これは船積み前に全額支払いを受けている場合はまさにその通りで、輸入者側でご対応くださいという話で終わります。しかし、代金の支払いを船積み前に一部支払い、船積み後にB/Lと引き換えに残金支払いとしていた場合はどうでしょうか?船積み後すぐに船が座礁して炎上または沈没した場合、残金は支払われるでしょうか?契約上は代金の支払いがされるべきですが、車が自分のもとには届かないとわかった時点で輸入者から残金の支払いを拒否されることはほぼ間違いないのです。ここに代金回収リスクが生じます。(次へ)
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