先週突如として発表された海外からミャンマー国内への中古車輸入に関して、驚かれた方々も多いと思います。この記事に関して現地運輸省、経済産業省、外務省の情報を元に現段階の最新の情報を御報告させて頂きます。

<右ハンドル中古自動車全面禁輸の引き金>

 2年前から本邦からの中古自動車が解禁になり、タクシー代替促進事業を始めとして多数の中古自動車が本邦から輸出された訳だが、過走行、事故歴車の隠ぺい、粗悪車の大量輸入、メーター改ざん、などのためにミャンマー国内で事故の多発、車輌火災、重度の故障等が相次ぎ、同国内で秘密裏に実態調査をしていた。実際の事故や車輌はどのような事象が影響したかは、正式な検査機関がほとんど無いため解からないであろうし、元々情報が有る程度誘導されるためこれらを要因と見るのは早計かもしれない。

 また現在ミャンマー政府は国際社会への正式復帰を切望しており、復帰が正式に認められれば、海外からの投資、製造業の海外からの移管を迅速に推し進める事が出来、その重要なイニシアティブを持っている米国への対応に非常に気を使っているのが現状。国家としての強さだけで無く、基軸通貨で有る米ドルは貿易を含めて国際取り引きには必要不可欠な通貨で、アメリカからの御墨付きをもらうのが絶対条件と現政府は考えている。

 また鉱物資源や天然ガスが豊富だが、現在の輸出先は主に中国・シンガポールで、資源高の波に乗るためや、鉱物資源や天然ガスを効率的に輸出出来るようにインフラ整備への海外投資が必須事項で、そういう複合的な意味合いでもやはり米国には逆らえないであろうとの事。

 先のオバマ大統領との会談で、右ハンドルへの異論も議題に上り、ミャンマー政府として現地生産を推進する理由や左ハンドル国からの圧力も有り、この度の観測気球発射となったという見方が現地スタッフからの情報である。本邦のメーカーも廉価版~高級車まで左ハンドル生産ラインを保持しているため、何ら影響を受けないのが現状で、影響をモロに受けるのが本邦の中古自動車マーケット関係者、取り分け中古車輸出業者で有る事は言うまでも無い。 来年の水掛け祭り後が有力と発表されているが、現段階では中古自動車輸入に携わっている関係者があまりにも多く、紆余曲折が予想され2015年まで延期されるという見方が大半で有るが、現状観測気球を上げてマーケットの反応を見るのが狙いのため、正式発表は年末という見方が有力な情報である。さはさりながらカザフスタンやスリランカのように、青天の霹靂的に法律が改定される可能性も否めないので、ここは情報を逐一得て報告させて頂きたく思います。

 貿易が有る程度自由化されてから、9月、12月、5月とレギュレーションを変更する癖のあるミャンマーだが、米国自動車メーカーもこのミャンマーには熱視線を送っているので、予断を許さないと思われます。特に米国メーカーの小型車、SUV、中型を新興国からの輸入という形で促進したいので、ここ数カ月はやはり注視するのが肝要かと思います。

(ブコビッチ)