前政権政党の肝いりで始められた自然エネルギー固定買取制度、東日本大震災時の原子力災害の影響で、一気に加速した同制度により参入企業が雨後のタケノコのように増加しています。企業、自治体、個人等を始め参入希望者が後を絶ちません。ただこの固定買取制度は買取金額が減少してはいるものの、契約時の買取金額はそのままということですから、最初の高値で契約した人や企業は、20年その金額が保障されますから、今後個人・企業はその影響でますます厳しい状況に陥るという公算です。もちろん自然エネルギー利用自体に異論は有りませんが、木を見て森を見なかった愚策は、今後着実に個人や中小零細企業に暗い影を落とすと思われます。円安が常態化されていながら、生産体制の国内回帰が思ったより進まないのは、そういう電力事情も大きいと思います。電力固定買取制度における電力料金の値上げは、実質大増税と言っても過言では無く、さらに今後も上昇を続けるのですから驚きです。原油価格下落に伴い、発電用天然ガス価格が下落しているためにまだ注目されていませんが、今後火力発電用の燃料が上昇に転じた場合、中小零細の製造業、小売、太陽光発電設備の無い一般家庭は、相当厳しい状況に陥ると容易に想像出来そうです。企業の国内回帰の常態化、増産体制、国内工場の新設等は、電力改革が進まないと難しいでしょう。意外にGDPが思ったように伸びない本質の原因は、実はこの電力固定買取制度が影響しているのかもしれません。