リーマンショックが起きた2008年9月以降先進主要国の中央銀行は、様々な方法でマネー供給量(マネタリーベース)を増加させております。ショック前の2008年3月をベースとした場合、資産残高がFRB(米国)で約5倍、英国で約4倍、日銀で約2倍、ECB(欧州)で約1.5倍と増加中。ただ対GDP比で比較した場合は、本邦だけ突出して高く50%でそれ以外は軒並み20%超という結果です。日銀は物価上昇率2%を尊守するため、さらなる緩和も必要ならば出動するというスタンスで、緩和の応酬による通貨安戦争はしばらく続きそうです。
ただ世界中でこれだけマネタリーベースが増加すれば、必然的に商品先物、債券、株式市場、不動産、ETF等に資金が流入する訳で、この先どのような状況になるか絶えず注視すべきだと思います。事実昨年の本邦株式市場は朝鮮戦争以来の上昇、今年に入ってNYダウ・S&P指数、ドイツDAX指数は史上最高値、債券も歴史的な上昇が続き(低金利)、ナスダック指数も14年ぶりの高値となっております。バブル崩壊の後始末を、マネタリーベースの増加や低金利政策によって対処するというやり方は更なるバブルを招きますし、規模やサイクルも以前とは比較にならなくなると思います。実体経済と大きく乖離した金融市場の暴走は、私達に多大な影響と混乱を招くでしょう。