炭素繊維メーカーの一角帝人は、米国に炭素繊維の生産拠点を新設すると発表、昨年末に取得したサウスカロライナ州の用地に工場を建設し、2020年から生産を開始する。投資金額は、土地取得や米国に原料を供給する日本拠点の増資分も含め、約350億円にのぼる。同時に2018年4月1日付けで、炭素繊維複合素材(CFRP)を手掛けるグループ会社の東邦テナックスを帝人に吸収合併させる。炭素繊維事業でのグループ総合力を高め、自動車の軽量化で本格活用が期待されるCFRP事業を強化させていく狙い。同社グループの炭素繊維生産拠点としては、日本、ドイツに続き米国が3拠点目、米国事業は航空機向けの供給体制を整えるのが当初の狙いだが、航空機での実績を積みながら日米欧3極でCFRP部材を供給出来る体制を生かし、自動車分野の早期事業化に取り組んでいく。何度もレポートしている通り、炭素繊維は鉄の1/4の軽さ、強度は10倍、弾性率は7倍、錆びずに化学的、熱的に安定しているという優れた特徴を持ち、現在の航空機の主流になりつつある。当初は高級車中心に部材として利用されるだろうが、今後価格調整力が付けば、間違いなく搭載車輌が増加する部材となると思われる。
(一部日刊自動車新聞より)