経済産業省は、車載用全固体型リチウムイオン二次電池の開発体制を刷新し、来年度から自動車メーカーや電池メーカーなどの共同開発体制へ移行させ、2020年前半の量産開始を目指していく。全固体型電池はエネルギー密度が現行の「液体型リチウムイオン電池」より30%高く、EV車輌に搭載すれば車内空間を損なわずに1充電あたり500キロメートル以上の走行が可能になるうえ、安全性も高い。液体型リチウムイオン電池では、中国や韓国勢との競争が激しくなっており、次世代型二次電池開発をいち早く進めて国際競争力を保つ狙い。経産省は2009年から200億円を投じリチウムイオン電池の開発に着手、昨年度からはポストリチウムイオン電池の開発支援に入り、全固体型も候補の一つとして産官学で推進してきた。これまでの研究開発で一定の目途が付いたため、来年度からは量産を睨んだ材料評価や車載時の充放電特性を予測する技術開発に入る。今後は大学・研究機関・自動車メーカー・電池メーカーなどによる開発組織を新たに作り、車載用蓄電池に関する来年度の概算要求額(48億円)のうち、1/3程度を全固体型に振り向け、リチウム空気電池、ナトリウムイオン電池など、他の次世代電池候補の電池内挙動解析も継続させていく。全固体型電池は発火しにくいうえ、エネルギー密度が400Wh/Kgと液体型の理論限界値とされる300Wh/Kgより30%高いのが特徴で、2030年代には車載用二次電池の主力となる可能性が見込まれている。
(日刊自動車新聞より)