中国で11月の貿易収支が発表され、輸出は前年同月比4.7%増、輸入は同6.7%減となり、差し引きした貿易黒字が過去最高となりました。中国の株式市場でも香港との相互取り引きが始まる前から堅調に推移して、現在は安値圏から40%もの上昇となっており、本日上海総合指数がとうとう3000ポイントを回復するにまで至りました。ただ輸出が増加しているのは、中国不動産市況の悪化で過剰生産して余った鋼材を海外へ輸出している結果が大きいと思われます。単純に輸出の増加が同国経済の回復と見るのは早計で、また鋼材の海外への廉売の影響は、海外鉄鋼メーカーにとって安値競争に晒される危険性を孕んでいると言わざるを得ないでしょう。
また中国煤炭工業会の数値を調べますと、今年1月~7月までの中国全土の石炭生産量及び販売量が、前年同月比それぞれ1.45%減、1.54%減と共にマイナス成長となっております。同数値の落ち込みは、粗鋼生産等の工業生産には欠かせない原料炭の需要が激減していることを表し、実質上のマイナス成長と見るべきでしょう。かの李克強首相も地方政府のトップを務めていた際、統計局の数値を信用せず専らエネルギー消費量や物流量の数値を見て、本当の成長率を判断していたそうです。今後は原油価格のみならず、石炭、鉄鋼製品の下落も避けられないかもしれません。