ウクライナへの軍事侵攻に対するロシアへの経済制裁の影響でロシア向け中古車輸出ビジネスの継続が困難な状況となりそうだ。為替レートと物流がその要因となるだろう。
まず一番大きいのが為替レートの問題だ。ウクライナへの軍事進攻以降、ロシア・ルーブルが大暴落している。ロシア・ルーブル安で日本円ベースの予算が下がり今までと同じようには中古車を買い付けできない状況となるだろう。2014年のクリミア危機でロシア・ルーブルの為替レートが急落したときもロシアからの買いつけが減少し、2014年、2015年はロシア向けの中古車輸出台数が大幅に減少した。2021年のロシア向け中古車輸出台数は162,249台で輸出先国のランキングで久しぶりに1位に返り咲いたが、為替レートが元に戻らない限りは2022年は大幅な減少に転じる可能性が高い。
もう一つ懸念されるのが物流だ。コンテナ船最大手のマースク、MSCなど大手船会社がロシア発着の全ての輸送を停止したと発表した。この動きに他船社も追随するのではないだろうか。日本からロシア向けにRORO船を配船しているECLは、3月3日時点の配船スケジュールを"Schedule under adjustment"としており、おそらく対応を協議しているのだろう。ロシア向けの中古車輸出といえば、日本海側の港に寄港するロシア船が日本からの帰り荷として中古車を持ち帰るケースが多くあり極東ロシア向けの輸送ルートが完全に閉ざされる可能性は低そうに見えるが、イギリスは3月1日からロシアに関連するすべての船舶の入港を禁止しており、EUも同様の措置を検討している。日本政府がヨーロッパ諸国の対応に同調して追随するならば、こうした日本海側の港から中古車をロシア船で輸送するルートも閉ざされることになる。現に日本は北朝鮮に関連する船舶の入港を禁止しており、国際協調ということ考慮すればロシア船についても同様の措置をとることは十分に考えられる。(次のページ)
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