ASEAN域内で自家用車の保有率が過去最高水準に達しているマレーシアで、自動車ローンが起因する家計破綻が3割に上ってきています。公共交通機関が未整備なマレーシア、地方で生活する庶民のまさに足で、調査会社ニールセンの2014年の自動車保有率は93%と世界で3番目に高く、複数台保有している世帯率は世界でもっとも高い54%に上る。同国で自動車を購入する場合、購入時に9年ローンを組むケースが大半で、自動車ローン金利を含めた割賦支払いは、地方の家計には負担率が非常に高いのが現状。さらに自動車のランニングコストが上乗せされるのだから、相当厳しいと言わざるを得ない状況だ。マレーシア政府の調査では、2007~2015年における家計の破たん理由の約3割が自動車ローンの返済が滞ったことが原因となっている。世界銀行の調査では、同国のマイカーや公共交通機関の料金などを含む、交通関連コストが占める割り合いが、香港や東京をも上回る水準だったとのこと。マレーシアの国内総生産(GDP)に占める家計債務の割合は年々増加、中銀の年次報告書では2015年には89.1%と過去最高を更新。これを受けて中銀は自動車ローンを含む各種融資の審査基準の厳格化を同国銀行に要請している。
2007年~2015年までの9年間の家計破綻理由
自動車ローン:26.9%
個人向けローン:18.0%
住宅ローン:17.3%
事業ローン:11.6%
(マレーシア=NNAより記事抜粋)