伊藤忠商事は本日25日、連結子会社化を目的に普通株式を公開買い付けによって取得すると発表しました。同社は39.49%を保有するヤナセの筆頭株主だが、公開買い付けに応募予定のあいおい、東京海上、三井住友、損保ジャパンの大手損保4社で、予定株式数は4社合計で19.88%に上る。これにより伊藤忠商事のヤナセへの出資比率は6割弱となり連結子会社となる。ヤナセは1915年東京・日比谷に梁瀬長太郎が設立した「梁瀬商會」が前身。戦前・戦後の混乱期を乗り越えぶれない確固たる信念により、素晴らしいブランド「YANASE」を築き上げたのは言うまでも有りません。それから100年あまりを経て完全に伊藤忠商事傘下になるわけですが、同社も素晴らしい総合商社、今後は海外展開も含めて更なる加速を見せるでしょう。
2008年から始まった世界恐慌により、先進国の金利がマイナスからゼロ近傍となっておりましたが、金融危機の震源地米国でようやく金利の正常化が始まって参りました。金利の正常化によって、今まで行き場を失ったマネーが、様々な債券、株式、リート、資源、原油等々へ投下されていたのが、逆流を始めてきています。とは言え、まだまだ金利水準の正常化とは言えない状況下では有りますが、ところどころでアンワインドの歪みが溜まりつつ有ると見ています。カリブ海や南米では、いつディフォルトしてもおかしくない国が存在しますし、米ドルの送金規制を敷いている国もちらほら出始めています。今後も続く米国の金利上昇によって、米国内はもちろん世界のどこかでその綻びを見せるかもしれません。
昨年からヴェネズエラとともにディフォルト懸念が取り沙汰されていたプエルトリコ、とうとう5月3日に700億ドル(7兆8000億円)という米国自治体(自治領)として米国最大の債務を負って連邦地裁に破産申請を致しました。この金額は、2013年に破産を申請したデトロイト市の約4倍に上り、今後の情勢を見守る必要性が有りそうだ。カリブ海の観光名所プエルトリコ、リーマンショック以降の客足の鈍りから、国の財政は逼迫し都度多額の債券を発行、急場を凌いできたが米国の金利正常化によって、徐々に資金繰りが厳しくなっていったと思われる。今後は債券を保有する米国富裕層や年金基金への影響がどのようになるのか、注視が必要でしょう。
ニューヨーク地区連銀が発表した調査によりますと、2017年1~3月期の全米家計債務残高は前期比1.2%増の12兆7300億ドル(約1426兆円)と、2008年7~9月期の12兆6800億ドルを超え、過去最高を更新しました。債務返済が活発化した2013年4蚊ら月期の11超500億ドルと比較すると14.1%も上回ることになる。サブプライムローン問題を受けて、住宅ローン部門の借り入れの内76.7%は優良プライム層のスコア720点以上で、2008年を教訓にサブプライム層への貸し出しには注視しているようだ。ただここ最近自動車ローン、クレジットカードローン、学生ローンなどの残高は過去最高を更新し続けており、90日以上の延滞率は前期の11.7%から改善されたとはいえ、いぜん二桁の10.98%に上る。今後FRBが金利の正常化へ向かう段階で、長期金利がじわじわと上昇した場合、市場の混乱が発生する可能性もゼロでは有りませんので、注視はし続けるべきでしょう。