中国政府、銀行団へ監視強化(2017/6/28)

中国当局は先週、中国国内の銀行やその他の貸し手に対して、海外の投資や企業買収を主とする企業への貸し出しに対し、システミック・リスクを監視するように指示を出しました。対象企業はDALIAN WANDA GROUP CO.,LTD.(ハリウッドの映画会社等の買収)、HNA HOLDING GROUP(ヒルトンホテルやドイツ銀行等の買収)、FOSUN INTERNATIONAL(クラブメッド、シルクドソレイユ、星野リゾートトマム、アーバンインシュランス等)等の世界的に有名になった企業。背景には昨年中国企業による海外企業の買収額が過去最高を更新、それに伴う人民元の流出による外貨準備高の目減りと元安を防止する目的が有ると見られ、今後の動きは影響力が大きいため注視が必要でしょう。

時を同じくして格付け機関のMoody'sは、豪州の主要4行のANZ、ウェストパック、コモンウェルス、ナショナルオーストラリアの格付けを1段階下げました。現在中国の有名な投資企業とは別に、いわゆるチャイナマネーが世界中の不動産市場へ資金が流入しており、現地の人間が不動産を持てなくなってきている国も増加中。今後チャイナマネーの資金が枯渇した場合、少なからず世界的に影響を及ぼす可能性も有ると思われます。

イタリア政府2行に公的資金2兆円投入へ(2017/6/27)

イタリア政府は25日、多額の不良債権を抱え経営が行き詰まった地方銀行2行について、最大170億ユーロ(約2兆1000億円)程度を投じて破綻処理すると発表した。金融システムの安定化を図り、取引先の中小企業の資金繰りを支えるのが狙いだが、巨額の公的負担に批判が高まる可能性がある。

2行はバンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァとベネト・バンカ。監督機関であるECBが23日、破綻の可能性が高いと発表していた。英金融誌によると、バンカ・ポポラーレの資産規模はイタリア12位、ベネト・バンカは15位。政府は行を優良資産と不良資産の会社に分割。優良資産会社は国内2位のインテーザ・サンパオロに譲渡し、最大約52億ユーロをインテーザに供給する。不良資産会社の処理に伴う損失などに備え最大約120億ユーロを保証する。EUは今月、イタリア大手のモンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ銀行(モンテ・パスキ)に公的資金を投入して救済することを決定。スペイン大手のポプラル・エスパニョール銀行は最大手銀行によって1ユーロで買収され、破綻を回避したことも記憶に新しい。
 
欧州の銀行問題は昨年から落ち着きを取り戻しているように見えるが、実際は今年に入ってからも不良債権問題が続いているのが現状。現地紙によればイタリアの銀行の不良債権処理には、今後3500億ユーロ(約43兆円)が必要になるとの試算も出ており、まだまだ欧州の火種は燻ぶり続けている。
 
(一部毎日新聞)

 

リコール費用大半が回収不能へ(2017/6/27)

タカタの民事再生手続きの受理を受け自動車メーカー各社は、タカタ製エアバックインフレーターのリコール費用求償権の大半が回収困難になるとの見通しを発表、ただいずれもリコール費用はすでに引き当て済みのため、業績への影響は軽微としています。ホンダは総額5560億円、トヨタは5700億円、マツダは407億円、スバルは735億円(今後予想される総額は1200億円)をリコール費用として計上済み、日産は900億円を特損計上している。自動車メーカー各社、今後の法的手続きの中で取り立て不能または取り立て遅延が発生する可能性が有るとIRで開示しました。タカタエアバック未回収車輌の内訳にすでに中古自動車として海外へ輸出されている車輌も有り、今後の回収率もあまり期待出来ないかもしれない。また最近の輸出先国では、リコール対策がされているか書面で提示しなければならない国も出てきており、輸出業者は落札する前にリコール対策済みか否かを調べてから応札する必要性に迫られてきている。

戦後最大の大型倒産へ(2017/6/27)

欠陥エアバックのリコール問題で経営危機に陥っている「タカタ」が26日、民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請・受理されました。負債総額は1兆7000億円となり、製造業として戦後最大の大型倒産となりました。これにより株式は無効化、自動車メーカーが立替えていましたリコール回収費用の大部分も回収が困難になる見通しに。今後はグループ企業の売却、縮小、整理等で経営再建を目指し、製品の安定供給を目指していくと発表。ただ創業家を中心とした役員の総入れ替えは避けられない見通しだ。リコール回収率は本邦で72~73%、米国で約36%、その他地域は不明とのことで、今後も紆余曲折が有りそうな気配。自動車製造に欠かせない安全製品を製造するタカタは、個人投資家や年金機構にとって非常に人気の有った銘柄で、今回の一連の騒動で損害を受けた人や団体も多い。まさに一寸先はダークである。