FRB議長のジャネット・イエレン女史が、米国上院・下院で議会証言を行いました。注目の金融政策については、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に当局の選択肢をオープンにしたままにする見通しで、3月半ばのFOMCでの行動を予想する投資家は少ないが、複数の政策当局者は利上げの可能性を排除すべきでないとしました。足元の経済指標は良い結果となっており、ビハインドカーブの原則から、3月の利上げも有り得るかもしれない。ただ急激な金利、特に長期金利が急上昇(価格下落)は、市場や米国景気を冷やす側面も有るため、イエレン女史は難しい舵取りを迫られている。
2016年の原油価格が底を突いてからボックス圏で推移していました鉄鉱石や非鉄金属ですが、トランプ大統領が当選して以降急激に上昇に転じております。それもそのはず、トランプ大統領は雇用の復活とともにいわゆるオールドエコノミーの復活を標榜しており、それを先取る形で上昇していると思われます。また米国内での大型インフラ、工場回帰を促すとのことで、それらの期待も寄与しているのでしょう。鉄鉱石先物価格はトランプ大統領決定以降すでに1.5倍以上に上昇、非鉄金属の銅価格なども1.3倍以上に上昇に転じております。鉄鉱石や非鉄金属などは、圧倒的な需要が有る中国経済の不透明感から昨年後半までパッとしなかったのですが、今後米国が相場を牽引するのか注目していきたいところです。鉄スクラップ価格も直近半年で1.4倍に上昇しており、自動車業界にとって影響度も高いので、こちらの動向も注視すべきでしょう。
いすゞ自動車と日野自動車は13日、ディーゼルエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを採用する連接バスを共同で開発すると発表しました。これが実現すれば欧州メーカー独占の連接バス市場に、国内メーカーが新たに参入する形に。この取り組みはもちろん2020年の東京オリンピックを見越してのものだが、場合によって世界各地で新たな輸送手段の一役を担う可能性も高いと筆者は見ている。東京オリンピック期間中は、観客の大量輸送は必須でしょうし、それ以外でも都市部でバスレーンが強化されれば、新たな輸送ビジネスを発掘出来ると思われます。また海外でも鉄道などのインフラと比較してこの連接バスを模索している国や自治体も多く、両社にとって新たな販路開拓が出来るかもしれない。
日立金属ネオマテリアルは、高容量リチウムイオン電池(LiB)向けクラッド集電箔を開発したと発表しました。これは従来の電解銅箔や圧延銅箔に比べて引張強度が高く、負極活物質の合金化に対応出来るのが特徴。既に公的研究機関や電池メーカーから高い評価を受けており、2019年に量産体制に入る見通しだ。車載用途を中心としたリチウムイオン電池の大容量化に繋がる技術として、負極活物質を炭素系材料からケイ素系などの合金材料へ置き換える方法があるが、合金は体積変化が大きく、集電箔に発生するシワが活物質を劣化させ、電池寿命にマイナスの影響を与えてしまうのが課題だった。同社が新開発した「クラッド集電箔」は、ニッケル-ニオブ合金の芯材と銅の表層材を複合させることで、高引張強度と低電気抵抗を両立させている。負極活物質に合金系材料を使用した場合の体積変化に耐えられるため、リチウムイオン電池の寿命を犠牲にせず、大容量化が可能になる画期的製品。
(日刊自動車新聞より)