今年は世界中で重要なイベントが盛り沢山ですが、最後は12月4日に迫った選挙制度改革を問うイタリア国民になるでしょう。今回の国民投票でレンツィ首相は進退伺いを明示しており、仮に憲法改正に国民が反対した場合は、首相を辞任し大統領が新たな首相を任命することになります。ただその際新首相の信任が議会で得られなければ、2018年5月の解散総選挙が早まるとの見通しとなっています。野党「五つ星運動」はユーロ離脱を問う物にしたいとの、不気味なキャンペーンを掲げていますから、日本ではあまり報道されませんが注視すべきだと思います。イタリアの債務残高はEUの優等生ドイツのGDPの8割にも上りますから、万が一のインパクトはメガトン級になると思います。更に来年は3月にオランダ議会選挙、6月フランス議会選挙、9月ドイツ議会選挙等々、反グローバリズム、反エスタブリッシュメントの風潮の中に実施されますので、世界中が注目しています。
もはや昔の出来事のような感じがする英国BREXIT国民投票、日本では報道されませんが英国では影響が深刻になってきております。輸入産品は通貨安で値上げが相次ぎ、先日もアップル製品が一気に20%値上げ、その他食料品の値上げに歯止めがかからず、市民が混乱し始めています。更に心配されるのは、英国GDPの12%を稼ぐロンドンの金融街”CITY”が大規模移転することになれば、カオス的な状況になるかもしれません。雇用の面から見てもCITYは200万人を雇用しており、それらが同国経済に与える影響は火を見るよりも明らかでしょう。さらに大規模移転が現実となれば、不動産価格は大きく下落するでしょう。代替都市は現状アイルランド・ダブリンと、アメリカ・ニューヨークが最有力候補となっていますが、果たして今後どうなるか来年再びBREXIT問題で揺れると思われます。
9月28日のOPEC臨時会合でサウジアラビアの譲歩により減産合意がされ、そこから一気に1バーレル50ドル超えまで急上昇した原油価格、しかしその後じりじり値を下げ、トランプ新大統領決定以降も同様の動きとなっています。今月末のOPEC総会で正式に減産が成されるか世界が注目しておりますが、実際には難しいと見るべきでしょう。9月の臨時会合でサウジアラビアが譲歩した背景には、10月にサウジアラビアが起債する予定でしたので、それまでに原油価格を上げたかったということが透けて見えてきます。同国の起債は全て市場で瞬間蒸発し、まんまと大成功を収めたことで、今後同様に取引や株式上場で資金調達を繰り返すと見られ、逆に同国にとって諸刃の剣となる気が致します。深刻なのはヴェネズエラで、ディフォルト懸念のニュースは日常茶飯事、外貨収入の9割が原油に依存しているため、このまま油価が低迷し続ければ同国にとって厳しい状況が訪れるかもしれません。
米国内で10万人規模の雇用を生んでいるゼネラルモータースですが、米国大統領選挙で国内産業復活を目指すトランプ新大統領に冷や水を浴びせるような形で、来年1月にオハイオ州及びミシガン州で2000人規模のレイオフを実施すると発表し、波紋を広げています。新政権誕生との関係を疑われておりますが、実際は新車販売台数の頭打ちと企業が好調な時に断行するレイオフと見るのが、自然かと思います。ただこのままドル高が進行すれば、米国製造業を始め輸出にはマイナスに働きますので、同様の現象が増加するかもしれません。そうなると米国産業復活を標榜するトランプ新大統領には、承服し兼ねると思われ過度なドル高には行きづらいかもしれません。