日銀金融政策決定会合1月(2017/1/31)

注目されていない日銀金融政策決定会合が終了し、市場の予想通り現状維持となりました。長短金利操作付きイールドカーブコントロール政策、特定企業優遇付きETF購入も反対者は有りましたが、多数決でこれも実施し続けることとなりました。ただこの二つの策に関しては、米国金利差によりドル高を生む為替操作と新大統領や側近は見なしておりますので、来週の日米首脳会談で必ず議論の的となるでしょう。特定企業の株に連動するETF購入に関して、米国ビッグ3、特にマツダがフォードの傘下だった時代に、来日していたマーク・フィールズ氏は、日本の内情を知っていますので、体の良い日銀からの補助金と報告している可能性も有るでしょう。また同氏は日本の「軽自動車優遇策」についても語っている可能性も有り、今後の日米二国間交渉でこちらもやり玉にあがるでしょう。来週の日米首脳会談を前に円安になるのはまずいので、来週末まで本邦の金利や為替に関しては神経質になると思われます。

2016年日系自動車メーカー海外生産比率(2017/2/1)

2016年暦年日系自動車メーカー8社海外生産比率

1位:ホンダ技研工業 83.6%

2位:日産自動車 82.9%

3位:スズキ自動車 73.0%

4位:トヨタ自動車 64.7%

5位:三菱自動車 48.3%

6位:ダイハツ工業 43.3%

7位:マツダ自動車 38.4%

8位:スバル 29.0%

(国内生産を含む世界生産台数に対し、海外生産比率が高いメーカー順)

(日刊自動車新聞データ)

どうなる日米貿易摩擦(2017/2/1)

トランプ大統領は連日ツイートテロを繰り返し、ビッグ3と一緒になって日系自動車メーカーへ矛先を向けてきています。確かにこれまで米国の庇護の下、世界第二位(現状は三位だが)の経済大国にまで押し上げてもらったとは思うのですが、それ相応の直接・間接投資を米国にし、プラザ合意の理不尽な通貨切り下げ、米軍への思いやり予算等々相当な貢ぎ物を献上してきました。ただ彼の中ではまだまだ不十分で、米国を再び偉大な国家にすべく、ありとあらゆる無理難題を本邦に要求してくる可能性が非常に高く、彼の動向には注視が必要だと思われます。

昨年の対米貿易は6.8兆円の黒字を記録、地域別貿易では最大の市場となり、その75%にあたる5.1兆円を完成自働車や輸出部品で稼ぎだしたことを受けての発言と思われます。さらに彼が不公平だ!と発言しているのは、本邦から米国へ輸出された完成自働車が4.4兆円だったのに対し、米国から本邦に輸出された完成自働車が901億円に留まったことを受けてでしょう。自働車や部品の輸出は現地生産化が加速し年々減少傾向にあり、昨年は前年比6%の減少となっている。それでも国内自動車生産台数全体の約60%は輸出向けで、その内対米輸出は20%前後を占めるのが現状。今月10日に大統領へ色々アピールすると思われますが、ああいう野生の感で生きる人は、理詰めや正論をアピールすればするほど逆上して却って逆効果になると思われ、日米首脳会談の内容は注目すべきだと思います。

 

三菱ふそう続々新モデル投入へ(2017/1/31)

 三菱ふそうトラック・バスは今年、「2016年排出ガス規制」の継続生産車への適用が9月1日から始まるのを見越し、大型トラック「スーパーグレート」を21年振りに全面改良するほか、中型トラック「ファイター」もエンジンを改良、小型トラック「キャンター」は、年末にEV仕様の「eキャンター」を発売する予定。さらに2018年・19年には日本で開発・生産する4気筒エンジンの搭載を再開する見通しとなっています。2016年排出ガス規制は窒素酸化物(NOx)の規制値が0.7g/kwhから0.4g/kwhに強化され、車両総重量(GVW)7.5トン超の新型車への適用は昨年10月1日から始まっており、今年9月1日の継続生産車に適用される。同規制への対応に加え、安全性向上を図るなど改良を施した製品を投入する。

 大型トラックは新型エンジンを搭載して車体の軽量化を図り、積載量の向上を実現している。新型エンジンは現行の1万3000㏄からダウンサイジングし、7000㏄と1万ccの2種類を揃え、テレマティックスを活用した安全性の向上も盛り込む見通しで、今年5月に発表する予定。

 中型トラックは排気量7500㏄の6気筒「6M60」エンジンを改良して排出ガス規制に対応させ、2018年には4気筒エンジンを自社開発・生産し、追加設定する予定。

 小型トラック「キャンター」の現行モデルはフィアット製3000㏄直列4気筒エンジンのみを搭載しているが、自社開発・生産する新型エンジンを2019年以降に設定する予定。また電気自動車「eキャンター」は今年末に投入する予定で、航続距離100キロメートル程度とのことなので、近距離輸送が主戦場となるでしょうが、ディーゼル排気ガスを敬遠する業界、地域にとっては嬉しい知らせかもしれないでしょう。

(日刊自動車新聞より)