三菱ケミカル「デュラビオ」の可能性(2017/6/28)

三菱ケミカルが独自に開発した新素材に、国内外の自動車メーカーから熱い視線が注がれている。その商品は植物由来のバイオプラスティック素材で、エンジニアリング・プラスティックの一種「デュラビオ」だ。エンジニアリング・プラスティックとは、耐熱性などの機能を強化した化学製品のことで、一般的には家電製品の内部に使用されている。この「デュラビオ」は、先日帝人とGLMの紹介ページで報告したポリカーボネート(強度・耐熱性・汎用性等で圧倒的に優れる)の良い部分と、アクリル樹脂(見た目が美し(透明性が高い)の良い部分を引き継ぐ新素材。この新素材の特徴は大きく分けて5つ

1.ガラスの代替が可能、2.塗装を必要としない、3.黄色く変色しない、4.軽量かつ強度が有る、5.トウモロコシ由来のバイオマス素材であること。などが挙げられます。

この「デュラビオ」は昨年12月上旬に東京で開催された「エコプロ2016」という環境展示会で、自動車メーカーのマツダが、新型車種「ロードスター RF」の外装部材に、三菱ケミカルと共同開発した新素材「デュラビオ」が使われたことで、自動車メーカーを始め世界各国から一気に注目を集めることとなりました。さらにマツダは、2015年から「ロードスター」、「CX-9」、「アクセラ」、「デミオ」に採用しており、今後も順次採用すると明言している。2008年から開発を進めてきた三菱ケミカルの新素材「デュラビオ」は、スマホ等のモーバイル端末で使用されるガラスの代替として2010年からサンプル品の試作を始め、商業化を模索し続けていた。ようやく採用が決まったのはスマホでは無く自動車で、2014年にスズキ「ハスラー」、翌15年に「アルト ラパン」の内装部材として使用されることとなりました。採用の最大の決め手は顆粒状の素材の段階で着色すれば、後工程での塗装が省略出来コストダウンになるということだった。2016年には仏ルノー「クリオ」の内装での採用も決定している。ほぼ同時期に、同じ原料を使用し似たような新素材を帝人も開発したが、未だサンプル品の試作段階ということで、この新素材は三菱ケミカルの独壇場となっている。現在この新素材を生産する福岡県北九州市の黒崎事業所のキャパシティはフル稼働で年間5000トンだが、2020年までに同2万トンに増産する計画となっている。これまでの採用実績は、自動車の内外装、モーバイル端末表面のガラスの代替、ディスプレイに内蔵する偏光板、眼鏡の上からかけるサングラス、化粧品の容器等だが、この新素材の自動車用用途としてまだまだ拡がりを見せると確信しております。

(ダイヤモンドオンラインより一部記事抜粋)

 

中国政府、銀行団へ監視強化(2017/6/28)

中国当局は先週、中国国内の銀行やその他の貸し手に対して、海外の投資や企業買収を主とする企業への貸し出しに対し、システミック・リスクを監視するように指示を出しました。対象企業はDALIAN WANDA GROUP CO.,LTD.(ハリウッドの映画会社等の買収)、HNA HOLDING GROUP(ヒルトンホテルやドイツ銀行等の買収)、FOSUN INTERNATIONAL(クラブメッド、シルクドソレイユ、星野リゾートトマム、アーバンインシュランス等)等の世界的に有名になった企業。背景には昨年中国企業による海外企業の買収額が過去最高を更新、それに伴う人民元の流出による外貨準備高の目減りと元安を防止する目的が有ると見られ、今後の動きは影響力が大きいため注視が必要でしょう。

時を同じくして格付け機関のMoody'sは、豪州の主要4行のANZ、ウェストパック、コモンウェルス、ナショナルオーストラリアの格付けを1段階下げました。現在中国の有名な投資企業とは別に、いわゆるチャイナマネーが世界中の不動産市場へ資金が流入しており、現地の人間が不動産を持てなくなってきている国も増加中。今後チャイナマネーの資金が枯渇した場合、少なからず世界的に影響を及ぼす可能性も有ると思われます。

イタリア政府2行に公的資金2兆円投入へ(2017/6/27)

イタリア政府は25日、多額の不良債権を抱え経営が行き詰まった地方銀行2行について、最大170億ユーロ(約2兆1000億円)程度を投じて破綻処理すると発表した。金融システムの安定化を図り、取引先の中小企業の資金繰りを支えるのが狙いだが、巨額の公的負担に批判が高まる可能性がある。

2行はバンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァとベネト・バンカ。監督機関であるECBが23日、破綻の可能性が高いと発表していた。英金融誌によると、バンカ・ポポラーレの資産規模はイタリア12位、ベネト・バンカは15位。政府は行を優良資産と不良資産の会社に分割。優良資産会社は国内2位のインテーザ・サンパオロに譲渡し、最大約52億ユーロをインテーザに供給する。不良資産会社の処理に伴う損失などに備え最大約120億ユーロを保証する。EUは今月、イタリア大手のモンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ銀行(モンテ・パスキ)に公的資金を投入して救済することを決定。スペイン大手のポプラル・エスパニョール銀行は最大手銀行によって1ユーロで買収され、破綻を回避したことも記憶に新しい。
 
欧州の銀行問題は昨年から落ち着きを取り戻しているように見えるが、実際は今年に入ってからも不良債権問題が続いているのが現状。現地紙によればイタリアの銀行の不良債権処理には、今後3500億ユーロ(約43兆円)が必要になるとの試算も出ており、まだまだ欧州の火種は燻ぶり続けている。
 
(一部毎日新聞)

 

リコール費用大半が回収不能へ(2017/6/27)

タカタの民事再生手続きの受理を受け自動車メーカー各社は、タカタ製エアバックインフレーターのリコール費用求償権の大半が回収困難になるとの見通しを発表、ただいずれもリコール費用はすでに引き当て済みのため、業績への影響は軽微としています。ホンダは総額5560億円、トヨタは5700億円、マツダは407億円、スバルは735億円(今後予想される総額は1200億円)をリコール費用として計上済み、日産は900億円を特損計上している。自動車メーカー各社、今後の法的手続きの中で取り立て不能または取り立て遅延が発生する可能性が有るとIRで開示しました。タカタエアバック未回収車輌の内訳にすでに中古自動車として海外へ輸出されている車輌も有り、今後の回収率もあまり期待出来ないかもしれない。また最近の輸出先国では、リコール対策がされているか書面で提示しなければならない国も出てきており、輸出業者は落札する前にリコール対策済みか否かを調べてから応札する必要性に迫られてきている。