ウクライナの外貨準備高の推移は前レポートでお伝えしましたが、ウクライナ国債の格付けも12月にS&Pが「CCC」から「CCC-」と投資判断をネガティブとしました。同格付け機関は、IMF(国際通貨基金)等によるウクライナへの次期支援実施が遅滞するようなことになれば、同国がディフォルト(債務不履行)に陥る危険性が有ると指摘。これにより更なる外貨流出を招いております。同国では外貨流出によるインフレが加速し、インフレ率が10%を超えてきており市民生活が逼迫してきています。ウクライナの動向ですが、本邦でも投資信託という形で組み入れられているものも御座いますので、投資信託などをされている方々は、注視すべきかもしれません。(外貨建てウクライナ国債発行残高160億ドルの内、88億ドルを保有して過去10年間年率8%のリターンを実現している、有名な債券ファンド)ただし組み入れ比率は、全債券投資残高の2.4%で影響は少ないと見られていますが、ディフォルトとなると多少のインパクトは有るかもしれません。
ロシア軍が侵攻してから1年が経過して、平静を取り戻しているかのように見えるウクライナですが、実際にはすでに2000人前後のウクライナ人が絶命しており、状況は悪化し続けています。さらにウクライナでは、ロシア同様外貨準備高が激減しており、2010年中盤比で1/5、侵攻前直近1年を見ても60%以上の減少と、とうとうIMFの規定にも抵触するぐらい外貨準備高が減少中です。近々ウクライナにはIMF、EU等の支援が入ると思われ、今後ウクライナの情勢に関してメディアでも再び注目されてくると思われます。
宇部興産(4208)は、リチウムイオン二次電池の負極材料に使用される、チタン酸リチウム(LTO)の開発を加速し2016年までの実用化を目指すと発表しました。LTOの実用化に関する研究テーマが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「平成26年度戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の助成事業にも採択され、現在様々なメーカーが実用化に向けて動き出しております。同社はリチウムイオン二次電池の分野で、電解液やセパレータを1990年代から事業化しており、LTOの研究開発は先端エナジーマテリアル開発センターで2013年から開始されています。燃料電池車が市場を席巻するには懐疑的な見方が多い中、やはり嫌でもハイブリッド車や電気自動車に注目が集まっており、今後も二次電池関連は注目でしょう。
(一部日刊自動車新聞)
トヨタ自動車は、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体を、ハイブリッド車のパワーコントロールユニット(PCU)に搭載した、カムリHVの試作車を開発したと発表しました。この試作車は2月から豊田市を中心に行動試験を実施し、現在主流のSi(シリコンケイ素)半導体と比較した、燃費向上効果、データ取得や不具合等を検証し早期実用化を目指す。この新型パワーコントロールユニット(PCU)は、昨年5月に豊田研究所、デンソーとで、SiCパワー半導体を共同開発したもので、従来のものより高効率化が図れるうえに小型にも適しているのが特徴。HVモーター駆動力を制御するPCUに使用しているパワー半導体は、車輌全体の電力損失の2割を占め、SiCパワー半導体の導入でどこまで燃費が向上するか注目されています。また同社は、先月から燃料電池バス(FCB)にもFCスタックの電圧を制御するFC昇圧コンバーターにSiCダイオードを搭載しており、走行データを取得して燃費向上効果を検証し始めています。
(一部日刊自動車新聞)