元の木阿弥(2016/11/16)

14日に7~9月の国内総生産(GDP)速報値が発表され、年率換算で+2.2%という結果で3四半期連続のプラスになりました。市場予想は+1.0%でしたので、民間の事前予想を大きく上回った形になりました。ただ内容は輸出が持ち直したことによる外需依存型で、肝心の内需はさっぱりの内容でした。GDPデフレーターは-0.3%とデフレ経済へ逆戻り、名目GDPも全くの内容となっています。このことについて日銀黒田総裁が発言し、台風による天候のせいだということでした。最近の同氏の発言は言い訳ばかりが目立ち、市場参加者に対して説得力が無くなってきた気が致します。何度もレポートしている通り、輸出カウントされない在留外国人の本国への日本製商品の大量発送や、TAX FREEでないインバウンド土産需要も含まれての数値ですから、すでに日本はデフレ経済に向かっていると言わざるを得ないでしょう。

イタリア国民投票迫る(2016/11/15)

今年は世界中で重要なイベントが盛り沢山ですが、最後は12月4日に迫った選挙制度改革を問うイタリア国民になるでしょう。今回の国民投票でレンツィ首相は進退伺いを明示しており、仮に憲法改正に国民が反対した場合は、首相を辞任し大統領が新たな首相を任命することになります。ただその際新首相の信任が議会で得られなければ、2018年5月の解散総選挙が早まるとの見通しとなっています。野党「五つ星運動」はユーロ離脱を問う物にしたいとの、不気味なキャンペーンを掲げていますから、日本ではあまり報道されませんが注視すべきだと思います。イタリアの債務残高はEUの優等生ドイツのGDPの8割にも上りますから、万が一のインパクトはメガトン級になると思います。更に来年は3月にオランダ議会選挙、6月フランス議会選挙、9月ドイツ議会選挙等々、反グローバリズム、反エスタブリッシュメントの風潮の中に実施されますので、世界中が注目しています。

BREXITの準備が続く(2016/11/15)

もはや昔の出来事のような感じがする英国BREXIT国民投票、日本では報道されませんが英国では影響が深刻になってきております。輸入産品は通貨安で値上げが相次ぎ、先日もアップル製品が一気に20%値上げ、その他食料品の値上げに歯止めがかからず、市民が混乱し始めています。更に心配されるのは、英国GDPの12%を稼ぐロンドンの金融街”CITY”が大規模移転することになれば、カオス的な状況になるかもしれません。雇用の面から見てもCITYは200万人を雇用しており、それらが同国経済に与える影響は火を見るよりも明らかでしょう。さらに大規模移転が現実となれば、不動産価格は大きく下落するでしょう。代替都市は現状アイルランド・ダブリンと、アメリカ・ニューヨークが最有力候補となっていますが、果たして今後どうなるか来年再びBREXIT問題で揺れると思われます。

原油価格の今後(2016/11/15)

9月28日のOPEC臨時会合でサウジアラビアの譲歩により減産合意がされ、そこから一気に1バーレル50ドル超えまで急上昇した原油価格、しかしその後じりじり値を下げ、トランプ新大統領決定以降も同様の動きとなっています。今月末のOPEC総会で正式に減産が成されるか世界が注目しておりますが、実際には難しいと見るべきでしょう。9月の臨時会合でサウジアラビアが譲歩した背景には、10月にサウジアラビアが起債する予定でしたので、それまでに原油価格を上げたかったということが透けて見えてきます。同国の起債は全て市場で瞬間蒸発し、まんまと大成功を収めたことで、今後同様に取引や株式上場で資金調達を繰り返すと見られ、逆に同国にとって諸刃の剣となる気が致します。深刻なのはヴェネズエラで、ディフォルト懸念のニュースは日常茶飯事、外貨収入の9割が原油に依存しているため、このまま油価が低迷し続ければ同国にとって厳しい状況が訪れるかもしれません。