2013年に中古車輸入規制が変更される可能性があるとの憶測もあり、2012年の年末には買い控えの状況にあったミャンマーのマーケット。年が変わればまた動き出すと言われていたが、2013年になって1ヶ月。ミャンマーの今後の動向を考えてみたい。
複数の情報源からの情報をまとめると、2012年にミャンマーに大量に輸入された中古車が小売市場でまださばききれておらず、小売マーケットの動きがスローになってきている様子がうかがえます。現地小売価格が下がっているため日本への中古車買い付けのオファー金額が低くくなっているのと、すでに在庫を抱えているショールームは在庫がさばけるまでは新規の買い付けはしないようにしているところもあるようです。ミャンマー政府公認のショールーム(輸入業者)は中古車の税金の支払いに関して優遇を受けられるが、輸入後1年以内に国内で小売販売することが条件のため、1年たっても売れない在庫車両を日本へ積戻ししているという話も聞こえてきますし、中古車輸入代行業者の中でも倒産・廃業しているところもあるようで、市場での淘汰が始まっているように思えます。現地の業界関係者によるとミャンマーにすでにある在庫車両が売れるのに4月ぐらいまでかかるだろうとのことで、ミャンマーのマーケットが本格的に動き出すのが4月以降との見方が出ております。
全般的な傾向とすれば、現地で在庫車がだぶついて現地の小売価格が低下し、日本への買い付けオファーの価格が下がるという流れが見て取れますが、一方、タウンエーストラック、サクシード、プロボックスなどミャンマー向けで買い付けされる車両がある一定の以上高値で安定的にオークションで落札されてる状況をみると、また別の疑問がわいてきます。海外の現地小売価格の相場が下がれば、それを反映してオークションでの買いつけ価格が下がり、車両の相場も下がってくるのではないか? アフリカのマーケットがよい例で円高に為替が動くと、彼らはドルで車両の買い付け予算を見ているので円価での買いつけ予算が下がり、アフリカ向けに輸出される車両のオークションの相場も下がるということが知られています。さて、ミャンマーはどうなのか?この疑問の答えは、おそらく売れるショールームと売れないショールームの差にあるように思ます。売れないショールームは差別化できる要素がないため価格勝負となり、マーケット全体が安売り傾向で相場がさがるとそれに引きずられて、在庫車の価格調整をせざるおえなくなり、新規の買い付けの予算もさがります。一方、売れるショールームは差別化をして価格競争をさける方向にあり、相場全体の傾向とは関係なくある一定の価格で売れるのである一定の価格で車の買い付けをしているのだと思われます。差別化の一つとして、資金力のある大手のショールームは分割払いでの車両の販売をしており、一括で支払いができないエンドユーザーは総支払い額が高くても分割払いで車を買えるショールームから買うため、そうしたショールームは価格競争に巻き込まれにくい傾向にあります。また、経済の中心地のヤンゴンではなく地方で中古車を販売している輸入業者も買い手の選択肢が少なく競争がヤンゴンほどは激しくないため、ある一定の価格を維持して小売販売できているようです。政府の指導で古いタクシーの入れ替え需要があるため、現地のタクシーとして使用されるプロボックス、サクシード、カルディナバンは引き続き需要があると予想されますが、そのほかの車種については人気車種の移り変わりが激しいため、個別に状況を見て判断していく必要があるように思います。
2011年の秋にミャンマーで中古車の輸入が自由化されて以来、ミャンマーでは車のビジネスの経験のない中古車輸入業者が乱立して、わけがわからない無茶苦茶な車の買い方をして、日本のオークションの相場を混乱させましたが、今後は中古車輸入業者の淘汰が進んで相場が落ち着くのではないかと思われます。しかしながら、ミャンマー政府が突然ルールを変更してマーケットが混乱したという経緯がありますので、ミャンマーの中古車の輸入ルールの変更、関税率の変更には今年も注意です。また、中古車輸出検査会社がミャンマー政府に働きかけをして輸出検査を導入させようとする動きもあるようですので、ミャンマー向けの輸出で輸出検査が必要になるかどうかも今年は注目されます。