2017年 1-4月 中古車輸出先国トップ20
2017年1~3月の中古車輸出台数は前年同期比でジョージア(グルジア)が-63.82%、シンガポールが-63.17%の減少で輸出台数が大きく落ち込んでいる。シンガポールは現地の買い替え需要の波にあわせて輸出台数が大きく増減するマーケットであるが、ここ2年ほどの輸出が好調な時期を経て買い替え需要が一巡し、停滞期へ移行していくような兆候が見られます。好調なマーケットに目をむけてみると、ジャマイカが+133.03%、ケニアが+79.87%、モンゴルが+73.99%、ロシアが+57.79%、スリランカが+58.14%と増加している。
2017年 1-3月 中古車輸出先国トップ20
順 位 | 国 名 | 台 数 | 前年同月比 |
1 | U.A.E. | 10,930 | -18.10% |
2 | MYANMAR | 7,460 | +6.25% |
3 | NEW ZEALAND | 7,438 | +12.80% |
4 | CHILE | 5,013 | +32.62% |
5 | BANGLADESH | 4,175 | +15.36% |
6 | SOUTH AFRICA | 3,489 | +5.73% |
7 | KENYA |
3,206 | +76.83% |
8 | TANZANIA |
2,993 | -25.62% |
9 | PHILIPPINES |
2,452 | -7.79% |
10 | PAKISTAN |
1,909 | -3.74% |
11 | SRI LANKA | 1,641 | -13.45% |
12 | RUSSIA | 1,507 | +112.29% |
13 | UGANDA | 1,405 | +38.97% |
14 | JAMAICA | 1,372 | +57.34% |
15 | MALAYSIA | 1,205 | +10.25% |
16 | AFGANISTAN | 1,050 | +47.89% |
17 | BOTSWANA | 618 | +1.15% |
18 | ZAMBIA | 565 | +18.70% |
19 | GEORGIA | 503 | -65.92% |
20 | HONG KONG | 491 | -19.11% |
2016年の中古車輸出統計をアップデートしました。
中古車輸出統計 2016年 (クリック)
2016年の中古車輸出先国ランキングのトップ10はU.A.E.、ミャンマー、ニュージーランド、チリ、ケニア、パキスタン、ロシア、南アフリカ、タンザニア、ジョージアの順で、2015年との比較ではスリランカがトップ10圏外となりジョージアが10位にランクインしました。それ以外は順位の多少の上下はありますが昨年と同じ顔ぶれで、U.A.E.がミャンマーを抜き首位が入れ替わりました。トップ10の中ではジョージアが前年対比で27.95%と台数を伸ばしており、過去10年で見ても毎年着実に輸出台数を増やしており、成長著しいです。また毎年確実にトップ10にランクインしてくるニュージーランドの安定感は相変わらず抜群で、U.A.E.、チリ、ケニア、パキスタン、南アフリカ、タンザニアは近隣諸国への再輸出のゲートウェイという役割もあり貿易統計上の台数が多くなる傾向がありますが、ニュージーランドは1国でそれに匹敵する台数を輸入する需要があるというのは驚異的です。ロシアも輸出台数No.1に君臨していた頃と比べると台数を大きく減らしていますが、7位にランクインして健闘しています
トップ10以外で2016年の輸出実績を見てまず気付くのは、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ボツワナ、モザンビーク、ザンビアなどアフリカ諸国向けの輸出台数が減少していることです。これは世界的な資源価格の下落で資源輸出に依存するアフリカ諸国の経済状況が悪化したことが影響しているように思われます。たとえばザンビアは前年対比-56.22%と大きく台数を減らしていますが、主要輸出品の銅の価格の下落でザンビアの経済状況はよくないといわれています。またモザンビークは前年対比-60.15%と台数を減らしていますが、外貨不足でモザンビーク政府が外貨の送金を制限していますので、海外から商品を買いづらい状況にあるようです。
スリナム、トリニダードトバゴ、ガイアナなど南米諸国も2016年は前年対比で台数を減らしていますが、これも資源安による経済状況の悪化の影響とみるべきでしょう。たとえばスリナムはアルミ原料のボーキサイト、金の産出国で、輸出の8割をこれらの鉱物資源に依存しており、長引く資源安で財政が悪化しIMFに財政支援の要請をしています。ガイアナはスリナムの隣国でスリナムと同様にボーキサイト、金の産出国で、トリニダードトバゴは輸出の8割を石油と天然ガスに依存しており、資源安の影響を受けやすい国であるといえます。
そのほかではスリランカが前年対比で-58.97%、タイが-50.20%減少しています。スリランカは輸入規制のルールの変更の影響、タイは関税の上昇と国王死去による自粛ムードで経済活動が萎縮したことが影響したとみられます。
輸出台数が増加した国を見てみますと、アフガニスタンが前年対比456.13%の増加、イランが440%の増加で輸出台数が急増しています。アフガニスタンは何か大きな変化があったわけではなく、もともとパキスタン経由でアフガニスタンに日本の中古車が流れており、パキスタンの陰に隠れて貿易統計の実績にあがってこなかったものが、おそらくコンテナで内陸のアフガニスタンまでダイレクトの中古車を運べるようになり貿易統計に反映されるようになったものと考えられます。イランは経済制裁の解除で取引が増加した結果であると思われます。
また、アメリカが前年対比74.15%の増加で39位にランクインしていますが、これは世界的な「クラッシックカー投資ブーム」の影響で空冷ポルシェなどコレクションの対象となるクラシックカーが買われた結果、輸出台数が伸びたと考えられます。