原油先物価格がOPEC総会後に暴落し、本日も一時1バレル63ドル台に下落した後に大きく10%上昇する値動きの粗い展開となっております。金相場も同様の動きを見せておりますが、コモディティトレーディング市場でコンピューターを駆使したトレーディングが大きく寄与したものと思われます。今後も原油や金相場に関しては、消去法で考えて上昇するには至らないと思われます。長らく続いたがそりん高で、一時軽自動車やハイブリッドに大きくシフトした国内ユーザー、今後ガソリン価格が許容範囲に落ち着いた場合、国内ユーザーの選択がどう変遷するか注目したいところです。
2016年にフォードモータース、2017年にトヨタ自動車とGMホールデンが豪州生産を終了させる予定となっておりますが、現在労使交渉が行われており、先月はGMホールデンが生産ライン従業員一人当たり平均8万5千オージードル、技術労働者は最大10万5千オージードルの解雇手当を支払うことで、合意に至りました。また工場の生産部門で働く従業員は閉鎖に伴い、勤続年数と4週間分の給与に掛け合わせたものに加え、退職金として4週間分の給与が支払われる。また組合側は早期退職も受け入れることとする代わりに、臨時労働者の雇用も認めることとなりました。ただ自動車生産に欠かせない部品のサプライチェーンの崩壊に伴い、撤退時期が早まる可能性も有るとメーカーは示唆しております。記載した通り、オーストラリアは労働組合の力が非常に強く、以前はそこかしこでストライキが乱発し、現在はストライキこそ少なくなりましたが、労働者保護の観点でいまだ強い影響力を持っております。土曜日は1.5倍、休日は2倍、祝日は3倍、その他アーリー、レイト、ナイトアローワンス、有給休暇の完全消化など、労働者保護色が強い豪州国内での製造業は今後も厳しいと思われます。場合によっては、GMホールデンが撤退時期を早める可能性も今後有るかと思われます。
ムーディーズインヴェスターズは1日、日本国債の格付けを1段階下げ「A1」に格下げしたと発表。今回の格下げは消費税増税を延期したことやデフレ経済を収束させるのは難しい状況というものだが、消費税の増税は延期という点と経済回復の可能性を鑑みて判断は、「安定的」とした。市場では一時狼狽売りに晒されましたが、フィッチはすでに格下げしてますし、本邦は超が付くほどの債権国ですから金利の急騰などの心配は要らないでしょう。何より日銀が強烈な国債購入を断行しておりますから、低金利(価格上昇)は継続するでしょうし、運転資金を借りるには良い環境下だと思われます。今回の発表は当レポートでお伝えしていた、急激な円安の一端を垣間見たような気が致します。ただ為替市場では一時狼狽売りが出たくらいで、現在は平静を取り戻しております。
乗用車メーカー8社10月生産・販売・輸出実績
メーカー 国内生産 国内販売 輸出
トヨタ 271,285台(-6.4%) 122,022台(-9.5) 157,645台(-3.8)
日産 73,111台(-10.0) 41,266台(-19.2) 37,070台(-25.5)
ホンダ 75,994台(-16.2) 59,144台(-9.5) 2,767台(-75.7)
三菱自 49,103台(-24.4) 6,415台(-35.5) 33,720台(+9.8)
マツダ 81,476台(-12.9) 17,374台(+7.8) 68,257台(-4.7)
スズキ 89,468台(+10.0) 58,088台(+6.0) 14,010台(+14.1)
スバル 67,759台(+13.3) 11,542台(-4.9) 56,834台(+40.0)
ダイハツ 58,586台(-7.8) 48,028台(+6.3) 640台(-18.3)
(日刊自動車新聞データ)
注目された10月の実績ですが、業績不振で海外に積極展開出来なかった富士重工(スバル)やマツダが、今回の円安の追い風をもろに受ける形で、輸出台数を伸ばしております。一方不振が継続しているのは、日産とホンダで増税の反動減を回復出来ないまま国内生産・販売ともに大きく減少しており、更に現地生産比率を高めていたため本邦からの輸出台数も減少中です。